わきが 原因といえばこちら!

わきがの治療法は、年々新しい方法が考えられているが、なかなか完治するのは難しいようです。

たいていの細胞は小さく、目には見えない。
肉眼では見ることのできない小さなものを身近に感じるには、その存在がたんなる知識ではなく、具体的な実感と経験をともなった「もの」として把握されることが望ましい。
種子をまいて花や樹木を育てた人はだれでも、一粒の種子をもとに、時間が経過するにつれ、大きな植物体、が生まれ育ってくることを知っている。
種子はわずか一つの細胞からなる。
たった一つの細胞から出発して、多数の細胞分裂をへた後に、その種子に固有の植物になる。
そのために外部から供給する必要があるものは、水と空気と肥料と太陽の光だけである。
種子細胞のなかにもともとあったなにものかが、このような生命のプログラムを進行させ、無機的な物質から複雑な形態と精妙な能力をもった生命体をつくりあげている。
よく考えてみれば、ひじょうにおどろくべき能力である。
しかし、私たちの目にする生物はすべて、一つの細胞から出発して、その生物らしい姿とはたらきをもつようになるので、まるでありふれた能力のようにみえる。
一見あたりまえそうな生物の性質のなかに不可思議さが秘められている。
生物とよぶのにふさわしい性質をそなえた最小の存在、それが細胞である。
生物体を構成するもっとも基本的な単位ともいえる。
細胞を理解すれば生命が見えてくる。
一つの細胞を頭のなかに思い浮かべてほしい。
だれでもかならずなにかを想像することができるはずである。
なぜなら、私たち一人一人がかつて、たとえ短時間といえ、一つの細胞歴史をさかのぼっていくと、最後にたどりつくのが自己の起源とも原点ともいえる最初のその一つの細胞である。
生命の原点が細胞である。
「すべての生物は細胞から成る」。
このルールは、細胞だけが生物をつくれるともいいかえられる。
一つの細胞からなる大腸菌やゾウリムシは単細胞生物というりっぱな生物であり、数十兆の細胞群からなる多細胞生物の一種であるヒトも、もちろん生物である。
ウイルスは細胞ではなく、細胞に寄生してふえ、生物とは認められない。
細胞に寄生する細胞があるが、これは生物とみなされる。
マイコプラズマという細胞は、細胞に寄生しており、最小の生物体である。
生物学のルールは実験や観察にもとづくものが大半である。
それゆえ、このルールは知られた生物種について成立することから導きだされたもので、「すべての生物は細胞から成るであろう」というほうがより正確になる。
しかし、例外はまず考えられない。
もしも、細胞からできていない生物の新種が存在したら、それこそ世紀の大発見となるであろう。
まったく新たな生物学の体系をつくらなければならなくなる。
「すべての細胞は固有の生命プログラムを、DNAという遺伝物質に保持している」の内容を、必要な範囲でかんたんに説明しておこう。
DNAは化学物質としての正式な名称をおぼえる必要はない。
だいじなことは、すべての細胞がこのDNAという物質をもち、細胞から細胞へ次に複製して伝達していくことである。
このDNAがなければ、生物は生きるうえに必要ないろいろな指令を発することができない。
化学的には塩基とよばれるもので、これにリン酸と糖の一種デオキシリポーズがくっついて、これらが数珠つなぎになっている。
そういうわけで、DNAは鎖状の高分子とよばれる。
しかもこれらが二本よじれあわさった二重螺旋の構造をしている。
二重螺旋内で、文字はAとT、GとCの対をつくる。
これを塩基対という。
細胞一個のなかにある全DNAの文字数はひじょうに多い。
生物種によっても異なるが、数百万から数百億文字以上にまで達する。
このDNAの全文字が遺伝情報のすべてである。
ヒトではざっと三〇億文字分のDNA情報が一個の細胞のなかにある。
これがどのていどの文字の量かというと、たとえでいうと平凡社の大百科事典の約二五セ″卜分という膨大なものである。
このような情報が一個の細胞内にたくわえられている。
生命プログラムの内容生命のプログラムは細胞のなかに宿っている。
目に見えない細胞のなかにDNAプログラムを保存し、必要に応じてプログラムを利用する。
プログラムのかなりの部分は、異なった生物のあいだでもよく似ている。
すべての生物に不可欠な性質にかんするプログラムは共通の場合が多い。
たとえば、細胞増殖のような生物にとっての必須プログラムは、生物種が相当かけはなれていてもかなり似ている。
この単位が1つの遺伝子DNAに相当するいっぽうで、それぞれの種は固有のプログラムを多数もっている。
力はアカトンボらしく飛ぶのも、究極的には種に特異的な細胞のもつ異なった能力によるのである。
DNAプログラムを構成する単位の内容を比喩的に説明すると、設計図のかなりの部分には、細胞のありとあらゆるタンパク質の構造必要な化学反応をつかさどっている。
使用書部分には、それらタンパク質が適切な組織細胞、時期、状況でつくられたり、つくるのを停止するやりかたが記してある。
ただしDNAは、一見むだな部分にもかなりのスペースをさいている。
余白や設計図でも使用書でもない、はたらきが不明の部分も多い。
プログラムは四種の文字が暗号配列のように並んで書かれている。
これら暗号解読のルールはかなりわかってきている。
その習得はけっしてむずかしいものではないが、本書の範囲をこえるので、必要最小限しか触れないことにする。
しかし、コンピュータの機械語を理解しなくてもコンピュータ操作が十分にできるように、DNAの暗号文字を知らなくてもDNAのはたらきは理解できるので、不安に思われることはない。
DNA文字三個が、一つのアミノ酸を指定するために必要である。
異なったはたらきのタンパク質は、アミノ酸配列がかならず異なる。
一つのタンパク質を設計するには、一〇〇から三〇〇〇個ぐらいのアミノ酸がいるので、その三倍の三〇〇から一万ぐらいのDNA文字配列が必要になる。
数万種のタンパク質を指定するので、設計図部分がDNAプログラムの相当部分を占めるのもとうぜんであろう。
DNAは生物情報のデータベースのようなものと考えてもよい。
使用書の部分(制御領域という)の文字配列は、タンパク質のアミノ酸配列を指定する設計図の近くにある。
前段で述べたように各タンパク質がいつ、どこで、どんな状況でつくられるかを指定している。
この制御領域のDNA暗号文字の解読はなかなかむずかしい。
転写とか翻訳の制御とよばれる研究分野に属する。
文字配列には、これら二つのタイプ以外のものもあるが、それらはおいおい触れていくことにしよう。
DNAプログラムの指示で生産された製品であるタンパク質は、それら自体のもっている能力をもとに細胞のなかでふるまう。
すなわち、タンパク質自身もプログラム化された機能をもつている。
それぞれのタンパク質は生理的必要性に対応して、構造や活性がすばやく変化したり、ほかのタンパク質と結合できるようになる。
具体的な例は後にくわしく述べよう。
DNAのもつ膨大なプログラムと、個のタンパク質のもつ精妙な対応能力が、さりげなく生きているように見える細胞の構造とはたらきを支えている。
ややアカデミックな表現をすれば、生命のプログラムはDNAやタンパク質という異なったレベルに基づいて、複合的かつ多層的に存在し、統一体としての細胞をシステムとして存続しうるようにしている。

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